肘・手の痛み
肘・手の痛み

肘の痛みは、スポーツや仕事、日常動作の繰り返しによる負担で起こることが多く、外傷から慢性的な障害まで幅広くみられます。転倒による打撲や骨折のほか、使いすぎによる炎症や腱の障害が代表的です。肘関節は手首や肩の動きとも深く関係しているため、原因を正確に評価し、安静、薬物療法、リハビリテーションなどを組み合わせて症状の改善を目指します。
肘の症状・疾患には、「変形性肘関節症、テニス肘、ゴルフ肘、野球肘、肘関節脱臼、肘関節骨折、滑液包炎」などが挙げられます。
肘関節を形成している骨(上腕骨、尺骨、橈骨)の先端は、関節軟骨に覆われており、骨にかかる衝撃を緩和しています。変形性肘関節症は、この関節軟骨がすり減り、壊れることで肘関節が変形していく疾患です。初期は運動や作業など、肘に負荷がかかったときにだけ痛みを感じますが、進行すると着替えや食事などの動作でも痛みを感じるようになります。
変形が高度になると、安静時にも痛むようになります。骨と骨がぶつかり合うことで骨のトゲ(骨棘:こつきょく)ができ、肘の屈伸の動きが制限され日常生活動作に支障がでたり、動かそうとすると激痛が走ったりすることもあります。また、肘内側を走行する尺骨神経が圧迫され、小指や環指(薬指)にしびれを感じたり、握力が低下したりする肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)を起こすこともあります。
肉体労働での肘関節の使いすぎによる発症や、野球やテニスなどで肘関節を痛め、のちに50~60歳代になって発症するケースもあります。骨折の治療後に変形することもあります。
上腕骨外側上顆炎は、「テニス肘」とも呼ばれています。肘から前腕には、手首を動かしたり、指を曲げたりする筋肉が重なるように存在し、その中の伸筋群(手首を反らしたり指を伸ばしたりする筋肉)の腱に炎症が起きて発症します。
テニスなどで同じ動作(主にバックハンドストローク)を何度も繰り返し、過度な負担がかかることにより、この筋肉に亀裂や炎症が生じて痛みが起こると考えられています。また、日常生活の中で毎日包丁を握る、ゴルフでクラブを握るといった握る動作の繰り返しや、パソコンやスマホの操作のしすぎも原因となります。
安静時には痛みは少なく、「タオルを絞る」、「ドアノブを回す」、「物を掴んで持ち上げる」といった動作で、肘や前腕に痛みを感じます。治療では、筋肉のストレッチなどのリハビリテーションを行います。
野球肘とは、投球動作の繰り返しによって起こる肘の障害で、肘関節を保護している軟骨や靭帯、筋肉、腱などが損傷する病態の総称です。肘への負荷が過剰になることが原因で、痛みの部位によって内側型、外側型、後方型に分類されます。
内側型は、肘の内側に過剰な負荷がかかり、靭帯の牽引力によって腱や軟骨が損傷します。代表的な病態には内側側副靭帯損傷(ないそくそくふくじんたいそんしょう)、内側上顆裂離損傷(ないそくじょうかれつりそんしょう)があります。
外側型は、肘の外側にある骨や軟骨が剥がれたり傷んだりすることで炎症や骨折が生じます。代表的な病態には離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん)があります。
後方型は、上腕骨後方にある凹んだ部分(肘頭窩:ちゅうとうか)にストレスがかかることで、疲労骨折や骨棘(こつきょく)形成が起こります。代表的な病態には肘頭疲労骨折(ちゅうとうひろうこっせつ)があります。
手や手首の痛み・しびれは、日常生活や仕事、スポーツなどでの繰り返し動作や負担により起こることが多くみられます。転倒などによる骨折や捻挫といった外傷のほか、使いすぎによる腱や神経の障害も代表的です。
手指の外傷として頻繁にみられるのは、球技における「突き指」ですが、使いすぎによる腱鞘炎(けんしょうえん)も障害として起こることがあります。また手首では、転倒時に手をつくことで起こる橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)がよくみられます。手・手首は細かな動作を担う重要な部位であるため、症状や原因を的確に評価し、保存療法やリハビリテーションを中心に機能回復を目指します。
手・手首の症状・疾患には、「腱鞘炎、ばね指、突き指、手関節捻挫、ガングリオン」などが挙げられます。
腱鞘炎(けんしょうえん)は、手の使いすぎによって指や手首の関節などに痛みが生じる疾患です。手首の母指(親指)側にある腱鞘(けんしょう)と、その部分を通過する腱の間で摩擦が起こり、手首の母指側が痛んだり、腫れたりします。安静にして手を使わなければ腫れは引きますが、使い続けると腫れや痛みが強くなります。スポーツや仕事で指を多く使う方によくみられます。
腱鞘炎によって腱鞘が狭くなったり、腱が腫れたりすると、曲げた指を伸ばそうとした時にカクンとばねのように跳ねることがあります。この症状を「ばね指」と呼びます。母指、中指、環指(薬指)によくみられます。
「突き指」は指が固いものにぶつかって、指先に大きな力が加わることで起こる指外傷の総称として、一般的に広く知られています。受傷した指には痛みや腫れ、動かしにくさなどが伴いますが、放っておけばじきに治ると軽く考えられがちです。しかし「突き指」には、挫傷や捻挫などの軽度の外傷以外に、骨折や脱臼、腱や靭帯の損傷など重度の損傷も含まれます。早期に正しく診断されないと、適切な治療の時期を逃してしまうこともありますので、「突き指」を軽視せず、整形外科で正しい診断と適切な治療を受けることをおすすめします。
手関節捻挫は、手首の関節を支える靭帯が過度に伸ばされることで生じるケガで、日常生活やスポーツで比較的よく見られます。転倒して手をついた際や、スポーツで手首に強い力がかかった場合などが主な原因です。症状としては、手首の痛みや腫れ、内出血、動かすと痛みが増すことが特徴です。また、重症の場合は関節の不安定感や力が入りにくいといった症状も現れます。
ガングリオンとは、関節や腱の周囲にゼリー状の内容物を含んだ腫瘤(しゅりゅう:こぶ)ができる良性の病変です。手首や指の付け根、足首などによく見られます。ガングリオン自体は命に関わるものではありませんが、大きくなったり神経を圧迫したりすると痛みやしびれを引き起こすことがあります。
ガングリオンができる明確な原因はまだ完全には解明されていませんが、関節や腱の使い過ぎや、慢性的な刺激、外傷などが関係していると考えられています。特に手首の関節の近くにできやすい腫瘤で、米粒大からピンポン玉大ほどの大きさまであり、やわらかいものから硬いものまでさまざまです。関節には潤滑油の役割を果たす滑液(かつえき)が存在しており、この滑液が何らかの理由で関節包の外へ漏れ出し、皮膚の下に袋状の構造を形成することで腫れとなって現れるのがガングリオンです。主に手首に見られますが、指の付け根の腱鞘にも発生することがあります。
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